リスボン LISBOA
6:30、起床。PENSAOアレグリア401号室の窓から、闇の中にライトアップされたサン・ジョルジェ城が見えました。
7:10、PENSAOアレグリアを出発。……しようとしたとき、フロントのお兄さんが、朝食なしでチェックアウトする■■と●●に、こう声をかけてくれました。
「オレンジジュースを飲んでいくかい?」
ポルトガル人は、優しいなぁ~。
↑【左】PENSAOアレグリア401号室のドア。 【右】メトロ。↑
7:20、メトロのレスタウラドーレス駅へ。
1日券の『7 Colinas Card(セッテ・コリーナシュ・カード)』は、自動券売機では購入できないようなので、窓口(券売り場)で買うことに。こんなに早い時間、しかも日曜日に、窓口に駅員がいるかどうか心配でしたが、たまたまいてくれました。電気はついてない状況でしたが、■■が近づき「7 Colinas、1 Day ticket」と伝えると、購入することができました。
『7 Colinas Card(セッテ・コリーナシュ・カード)』は、メトロ、バス、市電、ケーブルカー、サンタジュスタのエレベーターが全て乗れるようになる切符です。1日乗り放題券(1 Day Network)が、3.4ユーロ(1日乗り放題料金2.9ユーロ + カード代0.5ユーロ)でした。
このカードは、JRの『SuiCa』のように、1度購入すれば、後日チャージして使用することができます(チャージは、窓口でも自動券売機でも可)。使用法も『SuiCa』と同じで、財布の中に入れたまま、改札の所定の位置にかざすだけでよいのでとても便利。このカードは、1日リスボンを周遊するなら、非常にお得です。
メトロで、レスタウラドーレス駅からカイス・ド・ソドレ駅まで行き、地上に出て、15番の市電(Electrico)を待ちました。
15番の市電は、8:00にカイス・ド・ソドレ駅前を出発し、8:12にベレン着。
↑【左】メトロのカイス・ド・ソドレ駅にあったツリー。 【右】市電乗り場。↑
↑【左】市電の中。 【右】ベレン地区に到着。↑
おっと、まだ書いていませんでしたが、本日の目的地はベレン地区。2つの世界遺産、ジェロニモス修道院とベレンの塔があることで有名な地域です。本来ならどちらも、入場料が3ユーロかかるのですが、日曜日に限り入場無料。楽しみです。
ですが、まずは観光の前に、腹ごしらえ。老舗の『パステイス・デ・ベレン』へ。お菓子屋であり、カフェであるこの店。とにかく歴史と伝統があり、その名に恥じない味を持つお店でした。
パステイス・デ・ナタ(エッグタルト)は、焼きたての薄いパイ生地の中にあつあつのカスタードクリームが入っていて、上からシナモンをふりかけてあります。できたてで、程よい甘さで、パリパリで、最高においしかったです。
他にマドレーヌとフィナンシェ(と思われるお菓子)を買いました。どれも1つ0.75ユーロ(105円)。
↑【左】老舗のカフェ、パステイス・デ・ベレン。 【右】パステイス・デ・ナタ。↑
2つの世界遺産はいずれも10:00開演なので、まずはもう1つの見どころ、9:00開演の『発見のモニュメント』へ。
途中、ブラジル人っぽいグループが歌いながら通り過ぎていきました。
朝市を準備しているインペリオ広場を通り抜け、地下通路(線路の向こうに行くために必要)を進み、8:30に発見のモニュメントへ到着。
↑大理石でつくられた、ポルトガルを中心とした世界地図。
高さ52メートル。1960年に、エンリケ航海王子の500回忌を記念して造られた比較的新しいモニュメント。レオポルド・デ・アルメイダの力作。EURO 2004中継のオープニング(WOWOW)で使われていたことからも、これがポルトガルの象徴であることがよく分かります。これほどまでに心を揺さぶる像には、これまでお目にかかったことがありませんでした。
↑壮大なモニュメント。
↑東側から見た、朝日に照らされる発見のモニュメント。↑
↑ポルトガル語で、『Padrao dos Descobrimentos』。
↑かなりの大きさ。
↑【左】ベレン地区から見た4月25日橋。 【右】西側から見た発見のモニュメント。↑
この像は、
ポルトガル人に誇りを、そして、
旅行者に「ああ、はるばるポルトガルにやってきたんだ。」という実感を与えてくれます。
↑そうそうたるメンバー。
先頭から、エンリケ航海王子、マヌエルI世、ヴァスコ・ダ・ガマ、カブラル、そしてマゼラン。さらに詳細を知りたい方は、Poohさんのブログを参照してください。
正面(北側)から見た発見のモニュメント。↑
想像以上に巨大な像たちが、大航海という同じ目的を持って、同じ方向を見つめています。朝日に照らされる、エンリケ航海王子、及び彼をサポートする人たちの像。テージョ川からの風。雲ひとつない青空。ベレンの石畳に伸びる長い影。
朝早かったため、この空間は30分間、■■と●●の2人だけの貸し切り状態でした。冬のヨーロッパ個人旅行は、こんなに贅沢な時間を旅行者に与えてくれます。
9:00になり、いよいよ発見のモニュメントの内部へ。52メートルの展望台になっているのですが、エレベーターが故障中のため、展望台の上には階段(350段!)を登らないと行けないと言われてしまいました。
旅行の格言 『階段には気をつけよう』
■■は2年前(2002年)、新婚旅行の観光初日にはりきりすぎて、プラハで2つの展望台に階段で登ったために、翌日以降すさまじい左足の痛みに襲われた苦い想い出があるので、ここ(発見のモニュメント)は迷わず登らないことにしました。
まだ旅行3日目。無理は禁物です。
残念ですが、眺望なら昨日サン・ジョルジェ城で味わっているので、登らずに次の見どころへ向かうことにしました。
発見のモニュメントを見納めで眺めていると、■■たちと入れ違いで、観光バスから観光客(おそらく中国の人)がどーっと降りてきました。みるみるうちに、大理石の世界地図が団体客で埋め尽くされていきました。
ツアーにはツアーの良さがあることを十分承知しているつもりですが、大勢と交わらずにモニュメントを堪能できた■■と●●は、幸福でした。
↑【左】公道を利用したマラソン。 【右】インペリオ広場から見たジェロニモス修道院。↑
ジェロニモス修道院をちょっと覗くと、日曜なのでミサをやっていました。今日は日曜日なので、午後に結婚式をやるかもしれません。『世界遺産』で結婚式とは、なんともスケールの大きな話ですねぇ。
しかもここには、カモンイスとヴァスコ・ダ・ガマが眠っているのです。どちらかと言うと、ヴァスコ・ダ・ガマの棺よりもカモンイスの棺の方が、光のあたるところに置いてありました。
↑【左】ヴァスコ・ダ・ガマの棺。 【右】詩人カモンイスの棺。↑
↑非のうちどころがない美しさの、ジェロニモス修道院。世界遺産です。
ミサを運良く見ることができましたが、ジェロニモス修道院の回廊には10:00にならないと入れないので、ベレンの塔に先に向かいました。
↑マヌエル様式の、ベレンの塔。こちらも世界遺産です。
ベレンの塔に10:05に到着し、らせん階段を上がり、屋上の展望台へ。発見のモニュメントよりは低いですが、テージョ川の向こうを見渡せました。ここのらせん階段は、人と人がぎりぎりですれ違えるくらいの幅しかないので、開演後すぐに登って正解でした。上がるときはすんなり上がれましたが、下りるときにはすでに大勢とすれ違うことになったのです。
↑【左】16世紀からテージョ川を見守ってきた塔。 【右】屋上の展望台。↑
↑【左】展望台でハイ・ポーズ! 【右】。遠目から見たベレンの塔。↑
10:30にベレンの塔を離れ、10:47に、またジェロニモス修道院へ。今度は教会内部ではなく、ジェロニモスの中庭(回廊)に入りました。観光客が大勢います。
↑ジェロニモス修道院の回廊。↑
ガイドブックの写真だと、ジェロニモス修道院の中庭は壁がかなり劣化しているよう(ベレンの塔と同じくらい古く見える)でしたが、■■と●●が見た中庭はきれいなベージュ色の壁でした。おそらく最近、壁を塗り直したのでしょう。非常に美しい2階建ての回廊でした。
『ジェロニモス 胡椒(コショウ)が建てた 修道院』
↑●●は、どこにいるでしょう?
ジェロニモス修道院もベレンの塔も、美しい建物でしたが、ベレン地区で最大のアメージングは、やはり発見のモニュメントでした。
ジェロニモス修道院を11:30に見終わり、ベレン地区をあとにすることに。
パステイス・デ・ベレンには、ものすごい人だかりができていました。●●ががんばって並び、またパステイス・デ・ナタを購入しました。
↑【左】ベレンが誇る回廊。 【右】vodafoneの広告が不思議と街並みにマッチ。↑
14:00のナザレ行きのバスまで、まだ時間が少々あるので、国立古美術館へ行くことにしました。
地球の歩き方の地図で見ると、15番の市電(ベレンに来るときに乗った市電の復路)で行けばよさそうな感じです。パステイス・デ・ベレンのすぐ前の道路にある市電・バス乗り場に座っていた口ヒゲのおじさんに、国立古美術館の行き方を尋ねると、「27番か49番のバスに乗りなさい。」とのこと。
■■「おじさんは27番か49番のバスだって言ってるけど、15番の市電でも美術館に行けると思うよ。あっ、15番の市電がちょうど来たから乗ろう。」
おじさんは、「ノー。それじゃだめだ。」と言って■■と●●を必死に止めようとしましたが、2人はおじさんの助言を無視して、15番の市電に乗りこみました。
しかし、2人が乗った市電は、4月25日橋の担架をくぐったあたりで、車庫に入ってしまいました。もちろん、その前に乗客は(2人を含めて)強制的に降ろされました。
■■「あれ~?なんでだろう。まあ、とにかくバス停を探そう。」
すぐに、27番と49番のバス乗り場が見つかりました。そこで待っている高貴な感じの老女に「Museu Nacional に行きたいのですが?」と尋ねると、老女は「ここの27番か49番のバスに乗りなさい。とても美しいわよ。」と答えてくれました。
(※本来なら、国立古美術館は『Museu Nacional de Arte Antiga』と尋ねなければアズレージョ美術館『Museu Nacional do Azulejo』などと混同される恐れがありますが、このときは幸いこれで通じました)
11:55、27番のバスが着たので乗車。バスは坂を登っていき、何やら変な方向へ向かっている気がしたので、乗客のおばあさんに「Museu Nacional に行きたいのですが?」と尋ねると、ポルトガル語で何か言いながら運転手を指差しました。
運転手に聞けと言う意味だと理解し、運転手に尋ねると、これまたポルトガル語なので意味がよく分かりません。そうこうしているうちに、おばあさんを中心として、乗客が皆、美術館への行き方(そして、それをどう日本人観光客に伝えるか)を相談しあいだしました。そして、帽子のおじさんが、指を折りながら「ウマ、ドイシュ、トレシュ!」と、■■に教えてくれました。これは、「3つ目のバス停で降りなさい。」という意味に他なりません。それでも若干の不安を抱えながら乗っていると、3つ目のバス停に着き、乗客の1人・口ヒゲのおじさんが、「ここで降りるんだ。」と教えてくれました。
バス停で降りると、口ヒゲのおじさんも降り、「美術館はあっちだ。」と指で指して教えてくれ、去っていきました。
そのとき、●●は気がつきました!「あのおじさんは、パステイス・デ・ベレンのすぐ前の市電・バス乗り場で道を尋ねたおじさんだよ!!」
…助言を無視した観光客に、このように親切に接してくれるとは、なんという懐の深さでしょう。「オブリガード!」降りたバス停から徒歩1分で、国立古美術館に到着。
なるほど、『地球の歩き方』の地図では、市電15番の路線からすぐのように見えますが、美術館は高台にあるため、歩くとかなりの距離があるのです。それに比べ、27番(もしくは49番)のバスなら、降りてすぐに美術館があるので、口ヒゲのおじさんも高貴な老女も27番(もしくは49番)のバスを薦めてくれたのです。「オブリガード!」
【右】何とかたどり着いた、国立古美術館。↑
国立古美術館も、日曜日は入場無料(平日は3ユーロ:420円)。
美術館内は、1階に金色の教会がありました。そして、ポルトガル教会の特徴、宗教的なジオラマもありました。
2階には、モダン・ジャパニーズを意識した建築になっていて、日本や中国、イスラムの美術品が飾られていました。そして3階には、ポルトガル国内の絵画と彫刻が飾られていました。
12:25に国立古美術館を出発。日中は14℃まで上がります。写真のような、薄手のコートやジャンパーを着ていれば、寒さは感じません。
帰りは15番の市電に乗ろうと思いましたが、市電が走っているはずの線路沿いの道路で市民マラソンが開催されており、市電・バス共に運休していたので、カイス・ド・ソドレ駅まで歩いていき、そこからメトロでカンポ・ペケーノ駅まで行きました。カンポ・ペケーノ駅は、そう、HOTELベルナの最寄り駅です。
13:25、HOTELベルナで、預けていたスーツケースを受け取り、13:36エントレカンポス駅発の電車で、西に1つ目のセテ・リオス駅(Sete Rios)13:40下車。
メトロの駅と違い、電車の駅にはエレベーターやエスカレーターがあるので、スーツケースを持っての利用に非常に適しています。このセテ・リオス駅の北東の出口から出ると、すぐにエスカレーターがあり、それを登るとセテ・リオス・バスターミナルがあります。
『地球の歩き方』や『個人旅行』には、長距離バスの出発・到着場所として、メトロのサルダーニャ駅かから徒歩5分のところにあるアルコ・ド・セゴ・バスターミナルが紹介されていますが、昨日、リスボンのインフォメーションで聞いたら、アルコ・ド・セゴではなく、セテ・リオス・バスターミナルを紹介され、そこの時刻表をくれました。
『ひとあじ違う ポルトガルの旅/パウロの家』、『Portugal daily travel news』、『地球の歩き方・ガイドブック更新情報掲示板』の記事によると、長距離のバスターミナルは2004年9月に、アルコ・ド・セゴからセテ・リオスに移転したようです。
アクセスが良く、バスの本数が多くて、このセテ・リオス・バスターミナルは非常に便利。ここから、アルブフェイラ、アルコバサ、バターリャ、カルダス・ダ・ライーニャ、エヴォラ、ファーロ、ファティマ、ラゴス、ナザレ、ペニシェ、ポルト、セトゥーバル、トマールなど、各都市とリスボンを結ぶ長距離バスが、出発・到着しています(2004年12月現在)。
■■と●●の目的地は、ナザレ。リスボンからナザレまで、所要時間1時間50分、7.3ユーロ(1020円)。
14:00にナザレ行きのバスが出発。REDE社の2階建てバスで、2階が暖房の効きすぎていて、ものすごく暑かったです。しかも、ポルトガルのバスは、窓を開けることができないので、半袖でちょうどいいくらいでした。ちなみに、ドリンクホルダーはついていません。
途中、カルダス・ダ・ライーニャを経由して、ナザレへ。
ナザレのバスターミナルに近づくにつれ、片側1車線の1本道が少しずつ混んできました。海岸沿いの道路をノロノロ走るバス。路上駐車の車が多く、冬のわりには浜辺に多くの家族連れがいます。快晴の日曜だからでしょうか。
ガイドブックからは、ひなびた漁村を想像していまいたが、なかなかどうして、国内外の観光客が多く訪れるビーチリゾート地のようです。
メルカード・ポルトガル
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コメント (4)
こんばんは。
先日発見のモニュメントを訪れた際、「これはいつもこころにEUROPAさんにもの申さねば!」
と思ったことがありましたので、ひとこともの申します(笑)。
実は私もおふたりのように、モニュメントによじ登って写真を撮ろうと思ってたんです。
ところが行ってみると柵があって入れないじゃないですか!
おふたりが行かれた時は柵はなかったですか?
それとも朝早い時間だったので、ひとの目を気にせずに済んだのでしょうか。
私はむりやり入って写真も撮ったのですが、ヒヤヒヤものでした。
痛い思いもしたし…。
まあ今となっては楽しい想い出ですけどね♪
投稿者: びびんば | 日時: 2005年09月08日 20:35
日時: 2005年09月08日 20:35
びびんばさん、こんばんは♪
発見のモニュメントで転倒してしまったのですね!?お怪我はありませんでしたか?でも、エレベーターで屋上まで登り、美しい眺めを見られたようで何よりです。びびんばさんのサイトの写真、ジェロニモス修道院のはるか北まで見渡せていて、きれいですね♪ビッカ線のケーブルカーも、NICE SHOTです!
私たちが訪れたときには、確かに柵のようなものがあったような気はしますが、特に立入り禁止というような印象は受けなかったので、せっかくなので像のそばまで近づいて撮影しました。
投稿者: 管理人N | 日時: 2005年09月09日 00:41
日時: 2005年09月09日 00:41
私のブログにご訪問ありがとうございます。
この像は誰か・・・現地ガイドぐらいしか全員の名前は言えません。
TCでもどれぐらいの人がきちんと知っているか・・・もし知っている人に当たればラッキーというところでしょうか。
参考になったという感想を見て、掲載して良かったなと思いました。
名前を載せるのはかなりマニアックになってしまうので、どうしようか悩んだんですが。
よろしければ、世界中の都市を紹介していく予定ですので、また遊びにきて下さい。
投稿者: Pooh | 日時: 2005年11月21日 20:17
日時: 2005年11月21日 20:17
Poohさん、コメントありがとうございます。
『週間ユネスコ世界遺産』では、左側のみ、しかも5番目のマガリャネス(マゼラン)までしか紹介されておらず、6番目以降の像は特に有名ではない人がモデルなのかと思っていました(汗)。
15番目(後ろから2人目)の合掌している像が、フランシスコ・ザビエルだったとは!非常に参考になりました。どうもありがとうございました♪
投稿者: 管理人N | 日時: 2005年11月22日 18:06
日時: 2005年11月22日 18:06