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2006年08月19日

19b) アルル

アルル ARLES

人口50,513人。グラン・ローヌ川のほとりの、小さな町。

 8月19日。13:55にアルル駅到着。アルル駅は、マルセイユやニースなどの喧騒とは無縁で、こじんまりとしていました。


↑【左】マルセイユ・サン・シャルル駅。  【右】ゴッホの愛した、アルルの太陽。↑

 アルル駅から南に歩き、ラマルティーヌ広場のカヴァルリ門を通ると、すぐに本日の宿、Hotel Acaciasに到着。駅からの所要は徒歩5分程度。2人1泊1室、56.52ユーロ(8,478円、朝食なし)。部屋は広くはありませんでしたが、清潔で新しく、窓からカヴァルリ門を眺めることができるいい部屋(202号室)でした。

 14:30にさっそく観光出発。
 噴水が輝くラマルティーヌ広場。先ほどは何気なく通り過ぎてしまいましたが、ここは、ゴッホが住んだ『黄色い家』があった場所。現在は『黄色い家』は残存しておらず、ラマルティーヌ広場を囲むロータリー状の道路は、車の通りが絶えませんでした。


↑【左】Hotel Acacias。  【右】かつて『黄色い家』があった広場。↑

 後期印象派の巨匠、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。ゴッホはアルルで1888年2月から1889年5月まで暮らし、その15ヶ月間に200もの作品を完成させました。ゴッホの人生の光と闇が凝縮された街、アルル。

山口智子 ゴッホ「日本人は、チョッキのボタンをとめるが如くたやすく、稲妻のように絵を描く。しかし私はもう日本の版画を買う必要はない。なぜなら私は今、日本にいるのだから。アルルの光、アルルの色彩、ここはフランスの中の日本なのだ。」

 日本テレビ系列の特別番組 『山口智子 ゴッホへの旅 -私は日本人の眼を持ちたい-』 で山口智子女史が熱く語ってくれた、歌川広重らの浮世絵に魅せられたゴッホ。そして、ゴッホのアルル。

 気温は29℃程度でしたが、マルセイユおよびアルルは湿度が高め。ウンブリア(アッシジ)以降は比較的湿度が低かっただけに、アルルは余計蒸し暑く感じました。そして日差しは強く、少し歩くと汗がしたたってきました。

「ゴッホは、この蒸し暑さにも日本を見たのかな?」


↑【左】ポスターを売る店。  【右】円形闘技場の内部。↑

 幸いアルルは、見どころが狭い範囲内に集中して存在しているので、汗をかくのは比較的短い時間で済みました。■■たちが訪れたのは、円形闘技場、古代劇場、サントロフィーム教会、市庁舎、エスパス・ヴァン・ゴッホ、カフェ・ヴァン・ゴッホ、ローヌ川。
 ■■たちが訪れなかったところでも、ゴッホが描いたトランケテイユ橋や、ゴッホとゴーギャンが背中を向け合って逆方向を描いたことで有名なアリスカン墓地などは、徒歩圏内。『アルルの跳ね橋』として有名なヴァン・ゴッホ橋(ラングロワ橋)は、徒歩で行くには距離が長いようですが、体力があれば歩けない距離ではないと思われます。


↑かつては20,000人を収容した、ローマ時代の円形闘技場。↑


↑修復後と修復前の、鮮やかなコントラスト。

 さて、まずは円形闘技場。闘牛は毎年9月開催のため、今は残念ながらオフシーズン。136m×107mの大きさ。このアルルのシンボルともいえる円形闘技場に、何故かゴッホは興味を示さず、描いたのは1度だけだったとのこと。

 円形闘技場のすぐそばには、古代劇場がありました。遠くの道路から車のクラクションの音が鳴り響いていたのは、おそらく結婚式の祝福のファンファーレのためでしょう。


↑【左】サントロフィーム教会入口の彫刻。  【右】市庁舎。↑

 そして細い道を歩いてその西側へ行くと、サントロフィーム教会市庁舎が連立しているレピュブリック広場に出ました。サントロフィーム教会入口のレリーフの完成度は、見事。


↑【左】エスパス・ヴァン・ゴッホ。  【右】ゴッホ作『アルルの病院の中庭』。↑


↑プロヴァンスの日差しが降り注ぐ、エスパス・ヴァン・ゴッホの中庭。

 そして、エスパス・ヴァン・ゴッホ。ゴッホが療養していた病院の跡であり、現在はカルチャーセンターとして利用されていて、アルルで毎年8月に開催される写真展の会場にもなっていました。ゴッホの作品『アルルの病院の中庭』は、入院中に彼がここの中庭を描いたものであり、現在では、絵の色をできるだけ忠実に再現するように手入れがされていました。
 写真展は、ここだけでなく、いろいろな場所で開催されているようでした。


↑【左】エスパス・ヴァン・ゴッホの入口。  【右】カフェ・ヴァン・ゴッホのメニュー。↑

 そしていよいよ、フォーロム広場にあるカフェ・ヴァン・ゴッホへ。ここは言うまでもなく、ゴッホが描いた『夜のカフェテラス』のカフェ。実際に訪れてみると、なんとなくゴッホがこの場所を選んで描いたことが分かる気がしました。
・ カフェ・ヴァン・ゴッホのメニューの拡大版はこちら


↑【左】カフェ・ヴァン・ゴッホ。  【右】『夜のカフェテラス』。↑

ゴッホの手紙 この小さなアルルという町でゴッホは、弟のテオに手紙を書き、ゴーギャンが来るのを待ち、ゴーギャンと議論し、ゴーギャンにアブサン入りのグラスを投げつけ、そして1888年12月23日にカミソリの刃を手にしてゴーギャンを追いかけまわしたあと、自らの左耳を切り落とし、娼婦の元に届けたのです。なんだか滅茶苦茶ですが、その後の研究で、彼は側頭葉てんかんという脳の病気だったらしいことが分かっています。
 ゴッホが愛され続けるのは、精神的な危うさと一流であるがゆえの苦悩を抱えながら、決して対象から逃げずに全力でぶつかっていった生き様が、人々に感動を与えるからではないでしょうか。


↑【左】古代劇場。  【右】ローヌ川のほとり。↑

 観光は、16:45でひとまず終了。帰りは、ローヌ川沿いの道を歩いてホテルに戻りました。
 ラマルティーヌ広場のそばにあるスーパーマルシェ・モノプリで、アイスやワインを購入して帰りました。小額でもクレジットカードが問題なく使用できるのも、モノプリのいいところ。ゴッホのアブサン好きは有名なようで、前述のようにゴーギャンに投げつけたとされるアブサンが、モノプリで売られていました。

「さすが、エスプリに富んだジョーク♪」
「僕は、ロゼのワインでいいや♪プロヴァンスで有名らしいので。」


↑【左】モノプリ。  【右】ゴッホがゴーギャンに投げつけたアブサン。↑


↑【左】電車の時刻表のデザインもおしゃれ。  【右】アルルの民族衣装。↑

 そして、夜。すっかり暗闇に包まれた21:30から、アルルの町を再び散策。


↑ホテルから徒歩5分で円形闘技場に到着。


↑現在の収容人数は12,000人。↑


エスパス・ヴァン・ゴッホの中に入ることはできませんでしたが、円形闘技場やサントロフィーム教会は美しくライトアップされていました。そして、カフェ・ヴァン・ゴッホは昼間以上のにぎわい。


↑闇夜に映える美しさ。サントロフィーム教会の彫像。


↑【左】エスパス・ヴァン・ゴッホの入口は、夜間閉鎖されていました。


↑カフェ・ヴァン・ゴッホを、『夜のカフェテラス』に近いアングルから撮影。

 22:00で、気温は23℃。半袖1枚で外を歩いても大丈夫でした。

「アブサンなんか飲まなくても、ちっとも寒くない町なのにね。」
「逆に、アルルがもっと寒ければ、ゴッホはゴーギャンにアブサンを投げつけずに、全部飲み干していたんじゃないのかな。」

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» 夜のカフェテラス:南フランスの空の下(37) 送信元 ChloeのOn/Off日記
アルルは、絵画ファンには特別な響きを持つ町です。19世紀の天才画家、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが、一番輝かしい絵を描いた街。黄色い壁が眩しい夜のカフェテ...

コメント (8)

宮:

こんにちは.先日は楽しかったですね.
このHPにはびびりました.
写真も記事も膨大な量ですね.
写真がとてもきれいでびっくりしました.

僕も昨年NYに行ったので,
NYの旅行記を見てみました.
懐かしかったです.
NYはいい街ですよね!

来年はヨーロッパに行ってみたく,
ヨーロッパの事を調べられる
HPを丁度探していたので,
これからも見させていただきます.
更新も楽しみにしています.

宮くん、こんばんは。
先日は、サッカーや旅行の話がたくさんできて楽しかったですね。学生時代の仲間のかけがえの無さを、あらためて実感しました。
自分たちの旅の記録を残したいと考えてこのホームページの作成を始め、少しずつ更新して現在に至った次第です。
NYでの滞在は、僕たちもとても楽しむことができました。興味のある記事や疑問などがあったら、またコメントしてもらえるとこちらのモチベーションも上がるので、これからもよろしくお願いします。

こんにちは♪
トラバ、ありがとうございました。
同じような時期にアルルを旅していらっしゃったのですね。写真も素敵ですし、旅行記の内容も充実していますね。
また、遊びに来ます。

salut_chloeさん、はじめまして。
さっそくのコメント、ありがとうございました。
salut_chloeさんの、EOS Kiss Digital Nでの写真はどれもいいですね♪ 私は父親が持っているEOS Kiss Digital Nをたまに借りて撮影するのですが、なかなか雰囲気のある写真をとるのが難しく、苦労します。
コート・ダジュールの旅行記、楽しみにしています。これからもよろしくお願いいたします。

こんにちは!
夏のアルル、冬とはまた雰囲気が違って素敵ですね!
アルルは蒸し暑いのですね。意外です!エスパス・ヴァンゴッホの写真は特に暑そうですね(笑)。
この季節、冷えたロゼワインが特に美味しかったでしょうね。カフェ・ヴァンゴッホは夏は賑わうんですね。

ゴッホの手紙、ちょうど読んでいるところです。

また遊びに来ますね♪

アルルの詳しいレポート、興味深く拝見しました。
実は私はゴッホの追っかけをしています。
アルルにもいずれはと考えていますが、どうも夏は暑そうだし、冬はミストラルがあるので、春か秋がよさそうですね。
また、アルルのレポートを掲載してください。

では、また。

sasasa0825さん、こんにちは!
コメントありがとうございます。
私たちは、ミストラルとは無縁で、暑さもなんとか我慢できるくらいのものでした。今年の夏は、8月より7月のほうが暑かったようです。
ゴッホの手紙を読むと、脳の病気だったとはいえ、彼の豊かな人間性は最後まで失われていなかったことが分かります。
これからもよろしくお願いいたします♪

雄平さん、こんにちは!
私たちは、大橋巨泉夫妻の旅行番組(2006年正月に放送されたもの)や、山口智子女史の特別番組に影響されて、ゴッホにさらに興味を持つようになりました。
雄平さんもチェックされていることとは思いますが、12月16日(土)22:54から、テレビ東京系列『美の巨人たち』1時間スペシャルがあり、ゴッホの『アルルの寝室』が採りあげられるようですね。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/special_061216.html

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