シラクーザ SIRACUSA
8月8日(火)。晴天。
7:00に起床し、朝食前にシラクーザ・オルティージャ島を散策しました。修復中のドゥオーモ、アレトゥーザの泉、イオニア海。何気なく素晴らしい風景たち。
↑【左】ポリシーを感じさせる案内板。 【右】修復中のドゥオーモ。↑
↑【左】アレトゥーザの泉には、アヒルがいました。 【右】B&Bの朝食。↑
8:00から朝食。B&B Aironeの宿泊者も、Hotel Auroraの宿泊者も、同じ食堂で同じメニューでした。焼きたてのクロワッサンの中にチョコクリームが入っていて、ふわふわで、これが驚くほどの美味しさでした。
↑【左】オルティージャの城。 【右】B&Bの食堂。↑
9:00にB&B Aironeを出発。徒歩30分でシラクーザ鉄道駅に到着。ここからタオルミーナ駅までの切符を購入。シラクーザ駅は窓口が1つしか開いておらず、5組ほど並んでいたので、切符を購入するまでに30分近くかかりました。
『シラクーザ → タオルミーナ 1人10.5ユーロ(1,575円)インテルシティ』
10:45発車予定ローマ行きのIC(インテルシティ)は、またも遅れて11:01出発。乗客は、サッカー・イタリア代表のマルチェロ・リッピ監督のような顔のおじさんが多かったです。
↑【左】イタリア鉄道。インテルシティ。 【右】最初はすいていましたが…。↑
12:14、カターニャ・チェントラーレ駅に停車すると乗客が大勢乗ってきてほぼ満席になりました。そして、12:55、タオルミーナ・ジャルディーニ鉄道駅到着。
タオルミーナ TAORMINA
『地球の歩き方』には、タオルミーナの鉄道駅に観光案内所があるとは書いてありませんでしたが、駅構内に観光案内所がありました。そこのスタッフはサングラスをど根性ガエルのヒロシ風にかけたおじさん1人だけでしたが、青の洞窟への行き方や、タオルミーナからメッシーナまでの行き方、メッシーナからバーリまでの夜行バスの時間を尋ねると、丁寧に教えてくれました。今日は青の洞窟に入ることができるのかを尋ねると、おじさんは「Yes! Every day!」と答えました。
「やった~!青の洞窟に入れるよ!」
あとから聞いた話ですが、タオルミーナの青の洞窟は、カプリ島のように入口が狭くないので、よほど波が高くない限りは、いつでも行くことができるようです。ただ、そうは言っても、天候が曇りや雨だった場合、青い光の反射は望めないので、晴天の日にタオルミーナに来れたことは幸運でした。
↑【左】タオルミーナ駅。 【右】バス後方の窓から眺めた道路。↑
さて、まずは、タオルミーナ・ジャルディーニ鉄道駅を出てすぐ右側に黄色のミニバス(運賃1人0.5ユーロ、75円)が停車していたので、それに乗りました。このミニバスは、崖の上のタオルミーナ中心地まで行くのですが、■■と●●はまず青の洞窟ツアーのモーターボート乗り場があると教えてもらったマッツァーロ海岸へ行くため、途中のカーポ・タオルミーナというバス停で13:10に下車。
そのバス停から見えた景色は…、まさにLE GRAND BLEU!
「うー!」「わぁ!」
「こんなに美しい場所が地球に存在していたとは!」
↑13:15。超常色彩。すばらしい透明度。
↑【左】バス停付近から見たイソラ・ベッラ。 【右】あと198m。↑
■■と●●は、大げさでなくそう感じました。リュックの重さを忘れることも容易でした。車道(Strada Statale)の脇にある歩道を、右手に海岸を見ながら歩くと、足を進めるごとに近づいてきたイソラ・ベッラ。イタリア語で『美しい島』という意味のこの島。決して名前負けしていません。晴天の午後(東向きの海岸なので、午前は逆光)、この道路(Strada Statale)から眺めたイソラ・ベッラは、本当に美しい島でした。
↑13:17。イソラ・ベッラのベストアングル。
↑13:20。イソラ・ベッラはプライベートビーチになっています。
観光案内所の人の説明だと、イソラ・ベッラとマッツァーロ海岸のどちらからでも、青の洞窟ツアーのモーターボートに乗ることができると説明されましたが、イソラ・ベッラはプライベートビーチになっており、崖の上から見た限りではイソラ・ベッラ周辺にそれらしきモーターボートが停泊していなかったので、マッツァーロ海岸まで行くことにしました。
↑【左】ここから階段を下りて、マッツァーロ海岸へ。 【右】マッツァーロ海岸。↑
ロープウェイ乗り場付近の階段を下りていくと、そこはマッツァーロ海岸。リュックサックを背負った■■と●●には、明らかに不釣合いなビーチ。みな当然水着で、パラソルの下で寝そべったり、泳いだりしていました。
砂浜に『GROTTA AZZURRA』と書かれたモーターボートがあるのを発見しましたが、誰も乗っていなかったので、海岸のレストランでクルーズについて尋ねてみました。すると、ウェイターが黒いTシャツのおじさんを呼んできて、そのおじさんがクルーズについて説明し始めました。「今日も青の洞窟に入れるぞ。このツアーは、青の洞窟のほか、いろいろな場所に行くスペシャルツアーだ。価格は1人30ユーロだが、スペシャルプライスで1人25ユーロだ。」と言い、値切ってみましたが効果がありませんでした。
そこで、再度マッツァーロ海岸を見渡すと、北側にもモーターボートが何台か停まっているのが見えたので、そこでもクルーズの価格を尋ねてみましたが、1人25ユーロと言われました。
↑14:00。タオルミーナ・クルーズのモーターボート。マッツァーロ海岸にて。
「どうやらここも、最初に聞いたおじさんと同じツアー会社の人みたいだね。」
「同じ金額だったら、最初のおじさんのほうが愛嬌があって親切そうだから、最初のおじさんに頼んだ方がいいね♪」
…と結論を出して、黒いTシャツのおじさんのところに行き、1人25ユーロ(3,750円)で参加することにしました。パラソル付きのモーターボートに乗り込んだのは、■■と●●の日本人夫婦(リュック持参)と、ロッテルダムからバカンスに来た母娘、そして黒いTシャツのおじさん(船頭)の、合計5人。
14:03、モーターボートは、オールを少しだけ漕いで沖に出たあと、トカゲの形のシールが貼ってあるエンジンから小気味良い音をたてて出発!
まずはマッツァーロ海岸から南方向へ向かいました。浅い場所は透明度が高く、深い場所もティレニア海に比べて色が明るいイオニア海。出発した時点で、これまでに訪れたカンパーニャのどの海岸よりも、タオルミーナの海岸の方がきれいであると、2人はほぼ確信しました。そして、この船上での1時間は、きっと一生の思い出になるということも。
↑【左】14:07。ボートは岸壁付近を進みました。 【右】14:09。↑
↑【左】14:10。 【右】14:13。念願の、青の洞窟の入口に到着。↑
出発して10分、■■と●●の悲願である、タオルミーナの青の洞窟が目の前に見えてきました。すると、澄み切った青空に、船頭の吹くホラ貝の音が響き渡りました。
「あれが、青の洞窟だぁ!」
「パリヌーロとカプリ島では、青の洞窟に入場できなかったけれど、ついに入ることができるんだね~。」
青の洞窟の近くまできたあとはエンジンを弱め、ゆっくりと洞窟内へ。内部に入ると、エンジンはストップ。暗がりの中で、水面は青く光り始めました。
「外は暑いけれど、洞窟の中は涼しいね~。あぁ、なんて綺麗なんだろう。」
「例えるならば…、う~ん、何だろう。水面を触ってみると、意外に冷たいね。」
↑14:15。青の洞窟内部。
海の青さは洞窟の外でも堪能できるので、洞窟の中に入った瞬間に驚くほど感動するわけではありませんが、ひときわ美しいのが、明るい青と黒のコントラストの部分。その境界が、水面のゆれに伴ってゆらゆらと変形するところがとても神秘的でした。
↑【左】14:18。船頭のホラ貝を借りました♪ 【右】14:18。遠ざかる青の洞窟。↑
↑【左】14:19。ボートから見たイソラ・ベッラ。 【右】14:21。イソラ・ベッラのビーチ。↑
ボートは青の洞窟を出発すると、イソラ・ベッラへ。海から見たイソラ・ベッラは、一見ただの岩山。
「やっぱりイソラ・ベッラは、さっきの場所(Strada Statale)から見た方が断然きれいだね。」
「あっ。次は幸運の洞窟に行くみたい♪」
↑【左】14:21。幸運の洞窟に到着。 【右】14:22。幸運の洞窟の水面。↑
↑【左】14:24。 【右】14:26。北側から見たカーポ・タオルミーナ。↑
幸運の洞窟にまつわるエピソードはよく分かりませんでしたが、ここも水面がきれい。青の洞窟がブルーなら、幸運の洞窟はエメラルドグリーン。
それからボートは、カーポ・タオルミーナ(Capo Taormina、タオルミーナ岬)へ。ここは、先ほど降りたバス停がある岬ですが、映画『グラン・ブルー (1988)』でエンゾ(ジャン・レノ)とジャック・マイヨールが海の幸スパゲティを食べたレストランがあるホテル(ホテル・カーポタオルミーナ)が建っていることで世界的に有名な場所です。
↑【左】14:28。カーポ・タオルミーナ。 【右】14:32。鉄道駅があるナクソス湾側。↑
でも、レストランが見当たらない…、と思っていたらボートが南側に回り込むと、すぐに見えました。
↑14:29。ホテル・カーポタオルミーナ(上)と、そのレストラン(下)。
景観の美しさのほかに、クルーズの良し悪しを左右する大事な要素。それは、船頭のサービス精神。幸い、この黒いTシャツのおじさんのエンターティナーとしての資質は、●●が見込んだ以上のものでした。出発早々ボートの舵を握らせてくれたり、ホラ貝を吹いて■■たちを楽しませてくれたり、双眼鏡やウィスキーのボトルなどの小物を貸してくれたり、2人の写真をたくさん(10枚以上)撮影してくれたり…。
ナクソス湾(Golfo di Naxos) 側に来ると、タオルミーナの街が山の上に見えました。そして、通称ウニの洞窟がありました。透明度が高く、海底にウニが生息しているのが見えました。
↑【左】14:34。海の底のウニが見えるほど透明な海。 【右】14:36。ナクソス湾。↑
ナクソス湾まで来たあと、モーターボートはもと来た方向へ戻り始めました。微妙に違うルートを通ってくれたので、ホテル・カーポタオルミーナも、イソラ・ベッラも、青の洞窟も、往路とは少し違った角度から眺めることができました。
脳裏に焼きついた景色が数多くあった一方、地に足がつかず、気持ちだけ舞い上がっていた感がありました。しかし、昔に比べて、物の感じかたや考えかたが近くなってきた■■と●●。
「2人だけの貸し切り状態だったら最高だったなぁ。」とか、「でも、オランダ人母娘が温厚な人柄だったので、これはこれでよかったなぁ。」とか、同じ瞬間に同じ角度でものごとを捉えていることが多く、相手に言わなくても考えていることがだいたい分かるようになりました。
そしてもちろん、自分も相手も驚くほどこの瞬間を楽しんでいることが、お互い手に取るように分かりました。
↑【左】14:43。少し沖側から見たイソラ・ベッラ。 【右】14:45。ロッテルダムの母娘。↑
↑【左】14:49。 【右】14:58。マッツァーロ海岸の北東にあったエレファント岩。↑
日差しは強かったですが、ボートにパラソルがあり、海上を走るので、暑さは感じませんでした。
ボートは、乗り場があるマッツァーロ海岸を過ぎて更に北側に進み、象の形の岩を眺めながら、スピソーネ海岸へ。ここは、イソラ・ベッラやマッツァーロ海岸に比べて地元客が多いとされている海岸。ここで、船頭が『ゴッドファーザー』のテーマ曲の鼻歌を歌い始めました。ここはゴッドファーザーの映画の舞台になったようです。
↑15:00。スピソーネ海岸。このホテルの中を、電車が通り抜けます。
↑15:02。海草が見える、スピソーネ海岸。
スピソーネ海岸を眺めたあと、船頭はマッツァーロ海岸に向かって舵をとりました。
↑【左】15:06。マッツァーロ海岸に戻ってきました。 【右】15:08。ビーチに到着。↑
↑【左】15:10。夢のクルーズは爽やかに終了。
15:08、マッツァーロ海岸に到着。名残惜しいですが、これでおよそ1時間のクルーズは終了。
実は今回の旅行の計画当初、シチリア島を訪れる予定はありませんでした。しかし●●が『地球の歩き方 南イタリアとマルタ』を隅々まで読み、ナポリからパレルモまで夜行フェリーで移動できることが分かったので、シチリア島に行くプランにしたのです。
タオルミーナのクルーズは全てが見どころばかりで、あんなに楽しいと感じたカプリ島のクルーズよりも、更に楽しく爽快なものでした。
まさに、人生万事 塞翁が馬。もしも8月6日にカプリ島の青の洞窟に入場できていたとしたら、このタオルミーナのクルーズは「えっ、1人25ユーロ?ぼったくり価格だからやめておこう!」と結論づけていたことでしょう。カプリ島の青の洞窟に入場できなかったからこそ、タオルミーナのクルーズに参加してみようと思ったのです。
「この景色は、一生忘れないね♪」
「うん。奇跡のビーチ、タオルミーナ♪」
ただし、塞翁が馬と言うからには、『この幸運(タオルミーナのクルーズに参加できたこと)が何か不運の始まりになるかもしれない!』と覚悟しなければなりません。
…そう、このとき、■■と●●が覚悟せざるを得なかった唯一の不運。きっとそれは、『残り22日間観光が続くけれど、おそらくタオルミーナより美しい景観には出会えないであろうこと』でしょう。
コメント (12)
タオルミーナの海岸の透明度に感動しました!!
イタリアにこんなにきれいなところがあるんですね♪
お写真もとってもきれいで、今後の展開がとても楽しみです。
投稿者: flower | 日時: 2006年09月24日 22:21
日時: 2006年09月24日 22:21
一ヶ月の旅行とは驚きです。
素敵な旅行をされたようですね!自分はあと33年間働いた後お金と時間があったら是非この様な旅行がしたいものです。
投稿者: Y.TANAKA | 日時: 2006年09月24日 23:22
日時: 2006年09月24日 23:22
flowerさん、はじめまして! 書き込みありがとうございます。
タオルミーナは、イタリア人の新婚旅行先としても人気があるようです。イタリア人も「一生に一度は」と憧れる気持ちが、大いに分かる素晴らしい場所でした♪
旅行はこれから、アルベロベッロやアッシジ、ピサ、チンクエテッレなど、個性的なイタリアの町々を巡っていきます。
これからもよろしくお願いします。
投稿者: 管理人N | 日時: 2006年09月25日 01:14
日時: 2006年09月25日 01:14
Y.TANAKAさん、こんばんは!
一念発起して今回の旅行に行ったおかげで、日本では得がたい体験をいろいろすることができました。
しかしそれは、日本で自分を支えてくれている多くの人の存在があってこそ可能なのだということも、(旅行記本文ではほとんど触れていませんが)痛感した旅でした。
これからもよろしくお願いいたします。
投稿者: 管理人N | 日時: 2006年09月25日 02:21
日時: 2006年09月25日 02:21
タオルミーナの青の洞窟 ウニの洞窟
イソラ・ベッラのベストアングル
HOMEの画像を見て どこだろうと思っていたのが
ここだったのですね きれいだわ~
投稿者: マリン | 日時: 2006年09月27日 22:52
日時: 2006年09月27日 22:52
マリンさん、再訪ありがとうございます♪
カプリ島の青の洞窟はマリンさんのように運がなく、入場できませんでしたが、そのぶんタオルミーナのクルーズを満喫できてよかったです♪
実際のイソラ・ベッラは、ジャン・レノ主演の『グラン・ブルー』で見たよりも遥かに美しく感じました。
投稿者: 管理人N | 日時: 2006年09月28日 18:19
日時: 2006年09月28日 18:19
私も5年前にタオルミーナを訪れました。
映画、「グラン・ブルー」の舞台ですね。
ホテルは奮発してサン・ドメニコパレスに2泊しました。
夜、ピアノバーでなんと93歳のチコ・シモーネ氏と会いました。
元気にピアノを弾いていました。
「グラン・ブルー」にも出演していました。
ほんと海はグラン・ブルーです。
投稿者: たかし | 日時: 2006年10月24日 17:34
日時: 2006年10月24日 17:34
故チコ・シモーネさんは、本当に生涯現役だったのですね。
このシチリア島の空気と海に囲まれて暮らしていれば、90歳まで元気に楽しく働くことも難しくないような気がしました。
投稿者: 管理人N | 日時: 2006年10月24日 21:42
日時: 2006年10月24日 21:42
こんにちは。
「夜のカフェテラス」つながりできました。
blogへ書き込みありがとうございました。
ステッキな旅を沢山しているようで、うらやましいですね!
特に、マナローラは、自分も行って見たい所なので、参考になります。写真も最高!
投稿者: Tsubocchi | 日時: 2006年11月29日 22:44
日時: 2006年11月29日 22:44
Tsubocchiさん、こんばんは。
素敵なお家に、私たちも憧れます。
チンクエテッレの次鋒、マナローラ来訪希望とは、お目が高いですね。ご新居の戸締まりを確認なさった上で、是非北イタリアへと飛びたってください!
これからもよろしくお願いいたします。
投稿者: 管理人N | 日時: 2006年11月29日 23:14
日時: 2006年11月29日 23:14
久しぶりに やってきました
ウニと海 また みられて よかったです^^
投稿者: マリン | 日時: 2007年04月28日 16:37
日時: 2007年04月28日 16:37
マリンさん、お久しぶりです。マリンさんはいろいろ旅行に行かれているようですね。
タオルミーナのクルーズは、未だに鮮明に憶えています♪
投稿者: 管理人N | 日時: 2007年04月28日 23:26
日時: 2007年04月28日 23:26