アヴィニョン AVIGNON
8月21日(月)。この日も快晴ですが、一昨日よりは過ごしやすい気候でした。この日は■■も●●も、朝風呂。
連泊なので荷物は置いたまま、7:55にホテルを出発しました。。
アヴィニョンの街は、この時間から早くもパン屋が開いていました。パン屋をいくつか覗いてみましたが、カンヌのモノプリで売っていたクロックムッシュよりも美味しそうなパンは、残念ながら見当たりませんでした。
「イタリアのお店と違ってフランスのお店は、何も買わずにお店を出ようとしても、店員が嫌な顔をしないのがいいね♪」
本日は、アヴィニョンの西側の門を出たところにあるバス停(Porte de l'Oulle)からバスに乗って、ポン・デュ・ガールを訪れることにしました。
予定より9分遅刻して、8:29にバス(ポン・デュ・ガール経由、ユゼス行)が到着。すでに乗客が4人乗っていましたが、みな日本人でした。そのうちの1人が、「往復で切符を買ったほうが、料金が安くなるみたいですよ。」と教えてくれました。
↑【左】アヴィニョンのバス停。 【右】プロヴァンスの田舎道を進むバス。↑
アヴィニョン←→ポン・デュ・ガール往復のチケット(1人11ユーロ、1,650円)を購入。バスに乗ったときに料金を支払うシステムのため、不慣れな客が多いとどうしてもダイヤに遅れが生じてしまうのでしょう。電車と違い、バスはクレジットカードが使えませんし。
プロヴァンスの田舎道を進むバス。途中から、地元客が何人か乗ったり降りたりしました。
9:07、予定より5分遅れでポン・デュ・ガール到着。アヴィニョンからの所要時間は43分でした。
ポン・デュ・ガール PONT DU GARD
巨大な古代ローマ時代の水道橋。1985年世界遺産登録。
ポン・デュ・ガールは、ユゼスの水源(ユールの泉)からニームに水を運ぶため、古代ローマ時代、紀元38年から52年にかけて造られた巨大な水道橋。美しい3層構造で、49mの高さにある最上層(全長275m)に水が流れていました。TBS系列『世界遺産』で、2006年12月10日に放送されたばかりです。
ポン・デュ・ガールのバス停は、ガルドン川の左岸。バス停の付近に観光案内所、おみやげ屋、レストランなどがあります。まずは、観光案内所でガイドマップ(日本語版)をもらい、すぐにポン・デュ・ガールへ向かいました。
↑【左】ポン・デュ・ガールの観光案内所。 【右】遠くにポン・デュ・ガールが出現。↑
観光案内所からポン・デュ・ガールを目指して歩いていくと、3分ほどでポン・デュ・ガールが見えてきました。まだ朝早い時間ですが、観光客の姿は少なくありませんでした。ポン・デュ・ガールは、フランスで5番目に観光客が多く訪れる観光地。1本の橋を見るために、年間200万人が訪れるのです。ポン・デュ・ガールが単なる橋ではないことは見る前から分かっていたことですが、実際に訪れてみて期待を裏切られることはありませんでした。
現在通行できるのは、いちばん下(上から3段目)のアーチの上のみ。左岸から右岸へ、1歩1歩古代ローマ人の息吹を感じながら(?)渡りました。
↑【左】美しいアーチ。 【右】ポン・デュ・ガールの上から下流側を見渡しました。↑
「こんな水道を50kmの長さに渡って造るには、技術の精巧さはもちろん、『世界が平和である!』というゆるぎない自信がなければ不可能だよね。」
「そうだね。50kmのうち、敵の攻撃などによって1か所でも壊されてしまったら、それだけで水道鏡の役割を果たさなくなってしまうものね。」
左岸からは3段全てのアーチを見るのは難しかったですが、右岸からは3段のアーチをきれいに見ることができました(左岸でも、丘の上に登れば3段のアーチを見ることができるそうです)。午前中は、写真のように下流側から見て順光になるので、訪れるのは午前中がおすすめです。
↑右岸から見たポン・デュ・ガール。全長275m。最上層のアーチの数は合計35。
どこにでも書かれていることですが、ポン・デュ・ガールの魅力は、大自然と文化遺産が見事に融合(調和)しているところです。ただし、ポン・デュ・ガールの素晴らしいところは、それだけではありません。
インフラ整備に並々ならぬ情熱を燃やした、古代ローマ人。水道橋は、1kmあたりわずか34cmだけの勾配があり、その傾斜によって水が流れるようになっています。この古代ローマ人のストイックさこそ、現代人を惹きつけて止まない理由ではないでしょうか。
↑工事に参加した労働者の数は1000人余り。使われた石は5万トン以上。↑
「時に、無垢は狂気に見えるんだね。」
「無垢が狂気なら、何が正気なの?」
「あざとさ。あるいは打算かな。」
(…中略…)
「要するに、ポン・デュ・ガールの魅力は、狂気と正気の共存ということ?」
「より正確には、狂気と正気の調和というべきでしょう。大自然と文化遺産の調和だけでなく、そういう魅力も大きく兼ね備えているんだね。」
「じゃぁ、狂気と正気の融合とは言い換えられる?」
「う~ん。…あくまで個人的な見解だけど、やっぱり、融合ではなく、調和なんだと思う。混ざり合っているけれど、溶けあってはいないんだよ。グレーじゃなくて、マーブルなんだ。」
右岸にある階段を登って、最上層にある、実際の水路(幅1.2m、深さ1.75m)を見ました。現在は、水は流れていません。
↑【左】最上層へ向かう階段。 【右】最上層の水路は、通行止め。↑
観光案内所でもらったガイドマップには、『ポン・デュ・ガールはローマ人の才能を証言しています』『ポン・デュ・ガールは歩行者天国です』など、少しヘンな日本語訳もありますが、理解しやすく役立ちました。
ただし、驚くべきことにポン・デュ・ガールの上を自動車(おそらくスタッフの車だと思います)が走っていましたので、ポン・デュ・ガールは、正確には歩行者天国ではありません。
↑ポン・デュ・ガールに立っている●●は、ミニチュアサイズ。
そのあと左岸に戻り、ガリーグ(潅木林)へ。広大な散歩コースが広がっていました。■■と●●は、さわりの部分だけ見て戻り、最後に、観光案内所と同じ建物の地下にあるポン・デュ・ガール博物館を少しだけ覗きました。
↑【左】ガリーグ(潅木林)の立体マップ。 【右】広大な敷地。↑
↑【左】観光案内所内の、ポン・デュ・ガール立体マップ。 【右】博物館。↑
そして、アヴィニョンに戻ることにしました。10:40(時刻表より8分遅れ)、ポン・デュ・ガールのバス停を出発。11:23(時刻表より11分遅れ)、アヴィニョンのPorte de l'Oulleのバス停に到着。
アヴィニョン AVIGNON
ちょうど昼食時だったので、レストランをいくつか見てみました。市庁舎前のレストランは、どこも申し合わせたように、8.5ユーロ(1275円)の『本日の一皿』を掲げ、touristicな匂いがプンプン。そして、法王庁宮殿が見える位置にあるレストランだと、同じ料理が12~12.5ユーロ(1800円~1875円)に跳ね馬ジャンプ。
touristicだから全て悪いという訳ではありませんが、この値段払ってステーキとポテトフライを食べるくらいならば(それもたまにならいいですが)、パン屋でキッシュやフランスパンを買ったほうが、味覚的にも満足度が高いはず。…そう思って、いちばん美味しそうだったSucre Saleというパン屋(Rue Saint Agricolと、Rue de la Bouquerieが交わる場所にあります)で、ほうれん草のキッシュ(2.5ユーロ、375円)を買いました。50ユーロ紙幣で支払いましたが、特に嫌な顔はされずにおつりをくれました。このキッシュが、なぜこんなに美味しいか分からないくらい美味しかったです♪
↑【左】Sucre Saleというパン屋。 【右】くしや手鏡を売るおみやげ屋。↑
キッシュが売り出されるのは、おそらく11:00頃から12:30頃までの間。この昼食時を逃してしまうと、パン屋の美味しいキッシュにはありつけません(多分)。
そして、サイドディッシュを買いに、スーパーマルシェ(スーパーマーケット)へ。
アヴィニョンのMONOPRIX(モノプリ)は、食料品の販売はなく、衣類だけ売っていました。アヴィニョンのスーパーマルシェは、Rue de la Republique通りにあるSHOPI(ショピ)!
ここで、チョコムース、牛乳、ライトコーラ(コカコーラ・ライトではなく、Grand Juryというブランドのペットボトル)などを購入して、ホテルの部屋に持ち帰りました♪。
チョコムース(Coppa Vienna) 0.21ユーロ(31円)
牛乳(1.0L) 0.66ユーロ(99円)
ライトコーラ(1.5L) 0.9ユーロ(135円)
サブレ- 0.55ユーロ(82円)
クレープの皮(12枚) 1.5ユーロ(225円)
↑【左】Sucre Saleのほうれん草キッシュ。 【右】スプーンはフロントで借りました。↑
だいぶ馴染んできたフロントの男性は、食べ物をたくさん持っている■■に対して、「For me ?!(私にくれるのかい?)」と小粋なジョークを連発。
「ごめんなさい。あなたが教えてくれたおすすめレストランは、全部閉まっていたの♪」「だからこれらは、僕たちのものだよ♪」
フランスが誇るエスプリのジョークには、ジャパニーズ・アドリブ(?)で対抗。で、13:00から15:15まで、1号室でランチ&くつろぎタイム。ポン・デュ・ガールの美しさと、午後の予定について話しました。
午後は、法王庁宮殿の北側の高台、ロシェ・デ・ドン公園へ向かいました。アヴィニョンの街は、アルルと同様、全て徒歩圏内なのが嬉しいところ。プチトランが法王庁宮殿前で観光客の乗車を待っていましたが、この街は自分の足で周るほうが良いでしょう。
↑【左】法王庁宮殿&プチトラン。 【右】ロシェ・デ・ドン公園へ向かう坂道。↑
↑【左】遠くに見えたヴィルヌーヴ・レザヴィニョン。 【右】公園にあった紋章。↑
ロシェ・デ・ドン公園までは、軽い上り坂。公園からは、北側のヴィルヌーヴ・レザヴィニョンの街や、サン・ベネゼ橋を見渡すことができました。
↑サン・ベネゼ橋と、対岸向こうのヴィルヌーヴ・レザヴィニョンの街。
↑【左】ロシェ・デ・ドン公園にあった岩。 【右】ローヌ川を結ぶ無料ナベット。↑
その後、公園から階段を下りてローヌ川のたもとに行き、16:10、ナベットに乗船しました。ナベットとは、ローヌ川の岸と岸を結んで往復運行している船のこと。乗船料は無料。
↑【左】ナベットから見たサン・ベネゼ橋。 【右】定員は30人程度。↑
アヴィニョン歴史地区側から、5分弱で対岸のバルトラス島側へ到着。こちら側は、昨日アヴィニョンの夕日が沈むのをずっと見続けた場所の近くです。
16:23にバルトラス島側を出発し、16:28にアヴィニョン歴史地区側へ戻ってきました。それから、アヴィニョンの城壁の外側を、ローヌ川沿いに西へ向かって進むと、サン・ベネゼ橋があり、そのアーチの下を歩いて通りました。
↑【左】サン・ベネゼ橋にタッチ。 【右】橋の礼拝堂は、ローヌ川に願いを込めた証。↑
↑実際には皆、アヴィニョンの橋(サン・ベネゼ橋)の下で踊っていたらしいです。
サン・ベネゼ橋の上を歩いている観光客がいっぱいいましたが、実際にサン・ベネゼ橋の上に立っていると、橋の全体像を見ることはできないので、このような場所から見るのも一興でしょう。幸い■■たちが歩いていたのは、交通量の多い道路を挟んでローヌ川側の歩道だったので、他にほとんど通行人はおらず、サン・ベネゼ橋を楽しめました。
↑【左】Hotel Alizea。窓が開いている2階の部屋に泊まっていました。
17:40、ホテル着。リラックスして夕食を味わいました。ポン・デュ・ガールに圧倒され、アヴィニョンではゆったりすることができて、いい1日でした。
例えば、「地下鉄が走っていないから、アヴィニョンやアルルは悪い街だ!」と言う人間が、世界中のどこに居るでしょう?街の価値というものは、そんなことでは決まらないということを考えたりもしました。
翌日(8月22日)は、アヴィニョン始発列車(リヨン行き)に乗る予定なので、早めに就寝。
明日はプロヴァンス地方に別れを告げ、ローヌ・アルプ地方のリヨン、グルノーブル、アヌシーの3都物語♪ ランキングに協力してくださる場合、こちらの文章をクリックしてください。