ニーム駅 13:20発 → アヴィニョン・サントル駅 13:49着
アヴィニョン・サントル駅 14:07発 → オランジュ駅 14:24着
オランジュ ORANGE
人口28,900人。素晴らしいローマ遺跡と、素晴らしいとはいえない国民戦線派の町長で有名な町。オランジュのローマ劇場とその周辺の凱旋門は、1981年世界遺産登録。
↑【左】14:24、オランジュ駅に到着。 【右】閑散としていたオランジュ駅前。↑
■■と●●の旅行は、これまで電車やバスでの移動中に体力を回復させながら頑張ってきた面がありましたが、本日は、隣接したプロヴァンスの各都市を移動しているため、電車の乗車時間は短めでした。
そのため、体力が戻らないうちに到着したオランジュ。しかもオランジュは、タラスコンやニームとは異なり、鉄道駅から観光スポットまで1km以上距離が離れています。
オランジュ駅に降り立って、西側にある出口を出ると、観光地とは思えない静寂が広がっていました。どの道を歩いていけばオランジュの古代劇場(Theatre Antique)があるのか、よく分かりません。
そこで、道端の売店にいた、オレンジ色のTシャツ(サッカー・コートジボワール代表のもの)を着ていた中年(or初老)男性に、古代劇場(Theatre Antique)までの道を尋ねました。しかし、丁寧に説明をしてくれたものの、言葉が通じず、意味がよく分かりませんでした。■■と●●が戸惑っているのを見かねたのか、その中年男性は、自分の車に乗りなさいとジェスチャーで示してきました。
↑【左】親切な中年男性。 【右】この車に乗せてもらいました。↑
「乗っても大丈夫かな?」
「疲れているし、ここはご好意に甘えてもい~んじゃないかな(^o^)」
「バスやタクシーも見当たらないしね(^_^)」
すでに旅行20日目となり、危機管理に対する意識よりも、疲労のほうが当面の問題になっていたため、男性の車に乗せてもらうことにしました。当然ですが、左ハンドルの、マニュアル車。海外で一般人の運転する車に乗ったのは、これが初めてでした。男性は優しい心の持ち主でしたが、口数は多くなく、車中では「中国人かい?」と聞かれた程度でした。
乗せてもらった時間は約3分。車は、古代劇場の目の前のフレール・ムネ広場で停車。お礼を伝えると、男性は車を走らせて去っていきました。
■■と●●が降ろしてもらった場所は、古代劇場のステージ壁(高さ37m)の裏側。さっそく、古代劇場を上から見下ろすため古代劇場の東南側から、サントゥトロップの丘を登ることに。
↑【左】「メルシー!」 【右】サントゥトロップの丘を登りました。↑
今年(2006年)7月にNHKで放送された『世界遺産 フランス縦断の旅』で、住吉アナウンサーと富山大学の教授が劇場からリポートしている間に、鎌倉アナウンサーが生放送中に丘を登りきっていたので、それほど時間はかからないはず…と思いながら、高さ97mのサントゥトロップの丘を登りました。
坂道は整備されていて、丘の上は木々に囲まれた公園になっており、親子連れが遊具で楽しそうに遊んでいました。
水飲み場があったので、ほてった顔を水道水で洗うと、生き返るここち。
↑【左】とにかく広い、プロヴァンスの空。 【右】古代劇場。↑
木々の中を少し進むと、古代劇場などを見下ろせるスポットがありました。古代劇場は、観客席の補強のため、わざとサントゥトロップの丘に隣接した場所につくられたそうです。どの座席に座っても、アウグゥトゥスの像が目に入るような設計。そして、今年(2006年)7月の野外音楽祭に合わせて修復した屋根は、なんとガラス&鉄製。かつては木製の屋根があったのですが、木で屋根をつくろうとすると壁に何ヶ所も杭を打ち付けなければならず、それによって壁が損傷する危険性がありますが、このように1本の棒によってガラス&鉄製の屋根を支えれば、壁の損傷は最小限で済むので、こういった修復をしているそうです(『世界遺産 フランス縦断の旅』の番組内でこのように説明されていました)。
↑15:02。サントゥトロップの丘から見下ろした、古代劇場とオランジュの町並み。
丘の展望台からは、古代劇場だけでなく、オランジュの町が一望できました。遠くには、かすかにオランジュの凱旋門も見えました。ベンチがあったので、そこに座って少し休憩。
オランジュの野外音楽祭が開催されるのは、年間にわずか5~6日程度。イタリアのヴェローナほど、野外音楽祭の開催日が多くないのが残念。ただ、車に乗せてくれた中年男性のように、優しくて控えめなオランジュ市民のメンタリティーには、そのくらいの日数がちょうど合致しているのかもしれません。
オランジュの見どころは、この古代劇場くらい。帰りは、オランジュ駅まで歩きました。古代劇場前からオランジュ駅までは、徒歩20分程度。
オランジュ駅 16:25発 → アヴィニョン・サントル駅 16:40着
アヴィニョン AVIGNON
人口85,935人。演劇祭で有名な、城壁と文化と芸術の町。法王庁宮殿やサン・ベネゼ橋などのあるアヴィニョン歴史地区は、1995年世界遺産登録。
アヴィニョンに戻ってきたので、まずはホテルへ…と行きたいところでしたが、まずは、日曜日のため17:00閉館となる観光案内所に向かいました。幸い、観光案内所とホテルは目と鼻の先。
閉館間際の観光案内所で、アヴィニョン(&ヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニョン)のガイドマップと、アヴィニョンからポン・デュ・ガール(←明日訪れる予定)までのバスの時刻表をもらいました。アヴィニョンのガイドマップのフォントは、ありがちな古くさい明朝体ではなく、品の良いゴシック体でした。
それからHotel Alizeaに行き、預けていた荷物を受け取ってチェックイン。
フロントにいたのは、朝と同じ陽気な中年男性。■■が「タラスコン、ニーム、オランジュに行ってきた。」と話したら、男性は、タラスコンの怪物タラスクの伝説について情感たっぷり込めて語り始めました。
↑【左】Hotel Alizeaの1号室。 【右】バスタブ付のお風呂。↑
Hotel Alizeaは、2人1泊1室、57.7ユーロ(8,655円)。昨日のアルルのホテルよりも内装は古かったですが、部屋は広め。バスタブがありましたが、シャワーのお湯の出に多少難のある時がありました(入浴には支障ない程度)。2階の部屋(1号室)の窓からは、道路を挟んで向かいにある、サン・マルティアル寺院と観光案内所が見えました。
「今日はこのあと、どうしようか?アヴィニョンには2泊するから、だいぶ余裕があるね♪」
「少しホテルでゆっくりして、日が落ちかけた頃にアヴィニョンの夕景を見に行こうか?」
「賛成(^o^)。」
ホテルでパンやお菓子などを少しつまみながら、くつろぎました。
そして、18:45にホテルを出発。
まずは、アヴィニョンのシンボル、法王庁宮殿(Palais des Papes)へ行きました。法王庁宮殿は、ヨーロッパ最大の、ゴシック様式の宮殿。14世紀に教皇宮廷として建てられた要塞宮殿です。法王庁宮殿のあるパレ広場の周辺は、観光客が特に多くいました。
↑18:54。法王庁宮殿。
当初の■■の案では、アヴィニョンの夕景は、ローヌ川を挟んでアヴィニョンの対岸にある町、ヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニョンまで歩いていき、そこから眺める予定でした。
しかし、城壁に囲まれた街・アヴィニョンの西側の門から城壁の外に出て、ローヌ川にかかるエドゥアール・ダラディエ橋(Pont Edouard Daladier)を渡ろうとしたところ、かなりの強風に遭遇。ガイドマップを見ると、ヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニョンまでは、ここまでの道のりの2倍歩かなければいけません。
そこで予定を変更して、エドゥアール・ダラディエ橋を途中で降り、ローヌ川の中洲・バルトラス島から、アヴィニョンの夕暮れを眺めることにしました。
【右】19:08。エドゥアール・ダラディエ橋から眺めた、法王庁宮殿とサン・ベネゼ橋。↑
「橋を降りると、風はほとんど吹いていないんだね♪」
「観光案内所でもらったガイドマップに、バルトラス島のこの辺りがビュースポットだと書いてあるよ!」
「本当だ!マップに『目』のマークが印されているね♪」
バルトラス島には、ユースホステルや、キャンプ場がいくつかあるようで、若者や親子連れの姿が多くみられましたが、運良く法王庁宮殿とサン・ベネゼ橋が一望できる場所にあるベンチを確保できました。
静かなローヌ川の流れ。時々通りすぎていく、つがいのカモや観光船。
↑【左】19:29。 【右】19:32。↑
↑19:30。フランス童謡のモチーフとなったサン・ベネゼ橋。
サン・ベネゼ橋は、「アヴィニョンの橋で 踊ろよ 踊ろよ♪」という歌詞のフランス童謡で有名な橋。もともとは、アヴィニョンとヴィルヌーヴ・レ・ザヴィニョンを結ぶ全長900mの橋でしたが、1669年の洪水で流されてしまい、22本あったアーチのうち4本を残すのみの、現在の姿となりました。
19:30には、まだ昼間とほとんど同だった青い空。
↑20:14。夕日を浴びてオレンジ色に燃え上がる法王庁宮殿。
それが、20:00から徐々に日光の質が変化してきて、20:14からおよそ10分間、法王庁宮殿が夕日を浴びて赤く輝きました。その後は急速に闇がアヴィニョンの空を支配していき、20:35には紫色に染まりました。そして、それもつかの間。20:45になると紫色は消えて濃い青に。
↑【左】20:25。夕日を浴びる法王庁宮殿。 【右】20:28。夕日が消えた直後。↑
↑【左】20:37。 【右】20:48。↑
法王庁宮殿とサン・ベネゼ橋は、20:55にライトアップ開始。
「日本では、こんなにじっくりと空を見たことはなかったね。」
「何もせずに、ただのんびりとベンチに1時間以上座っていても飽きない場所は、他にないよね。」
「20日間、無事に過ぎたね。残りは10日間!」
↑【左】20:34。 【右】21:01。↑
結局、バルトラス島のプロムナードに、19:20から21:05まで、1時間45分居続けました。アヴィニョンの夕景と夜景は、この旅行で必ず見ておきたいもののうちの1つだったので、それを満喫できてとても幸せでした。ただ、いくら自分の目のフィルムに景色を焼き付けたつもりでも、やはり人間の記憶力には限界があります。デジタルカメラで撮影した写真は、リアルタイムの感動をそのまま保存してくれるので、本当にありがたいです。
↑21:09。帰り道のエドゥアール・ダラディエ橋から見た、サン・ベネゼ橋。
↑【左】市庁舎。 【右】オペラ劇場。↑
↑21:24。法王庁宮殿。壁面の色と質感は、アヴィニョン独特のもの。
21:40、Hotel Alizeaに帰着し、いつものように本日の行程などをまとめました。この日、2冊目のメモ帳が最後のページまで埋め尽くされ、3冊目のメモ帳をおろしました。
日本にいるときは、ベッドの中で見るだけだった夢を、今は、起きながらにしてみることができている。……ワイングラスのその向こうに、贅沢への感謝の気持ちを浮かべながら、20日目の夜は更けていきました。
コメント (2)
こんにちは。
アヴィニオンはこの夏の旅行では立ち寄りませんでしたが、以前、2度ほど訪れたことがあります。写真を懐かしく拝見しました。
いつもながら充実した旅行記ですね。
ポン・デュ・ガールも大好きな場所ですので、続きを楽しみにしています。
リンクを張らせてくださいね。
投稿者: salut_chloe | 日時: 2006年12月19日 06:23
日時: 2006年12月19日 06:23
> salut_chloeさん
お待たせいたしました。ポン・デュ・ガールの旅行記をアップいたしました。冬に夏の旅行の記憶を呼び起こす作業は、往々にして難解ですが、励ましの言葉をいただけたので比較的スムーズに旅行記を作成することができました。拙ブログの旅行記を楽しみにしてくださるとは恐縮です。そして、とても光栄です。
リンクの件、是非よろしくお願いします。拙ブログは現在リンク集を整備中ですが、公開の際にはsalut_chloeさんのブログもリンクに入れさせてください♪
では、これからもよろしくお願いいたします。
投稿者: 管理人N | 日時: 2006年12月20日 02:09
日時: 2006年12月20日 02:09