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2006年08月28日

28) パリ

パリ PARIS

 フランスの首都。旅人を魅了し続ける花の都。

 8月28日(月)
 8:10、起床。外は雨。昨晩寝た57号室は比較的狭く、シャワーのみで、しかも上階の部屋の音が気になったので、出発の前にまずホテルの部屋を変えてもらうことにしました。
 幸いフロントの中年女性は思慮深い人で、バスタブのある部屋をリクエストしたら、40号室をみせてくれました。40号室は広く、きれいなバスタブもあったのですが、残念ながら床が少し傾斜していたため、さらに違う部屋をリクエスト。
 15号室は、バスタブはないものの、57号室より広く、床が平らだったので、この部屋に泊まることにしました。

 10:20、RER(高速郊外鉄道)のD線に乗り、北駅(ガール・デュ・ノール)からシャトレ・レ・アール駅まで移動。


↑【左】RER(パリ高速郊外鉄道)のD線。  【右】オ・ピエ・ド・コション。↑

 10:40、オ・ピエ・ド・コション(Au pied de Cochon)という24時間営業のレストラン(ブラッスリー)へ。ここは、2006年正月にテレビで放送された大橋巨泉のフランス旅行番組で紹介されていたお店。大橋巨泉がオニオングラタンスープ(スパ・オニオン・グラチネ・トラディション)をおすすめしていたので、それを注文しました。6.7ユーロ(1,005円)。

セーヌ川の水オニオングラタンスープ
↑【左】セーヌ川の水。  【右】オニオングラタンスープ。↑

 店内はワインレッドと白を基調にした伝統的な面持ちで、映画に出てきそうなイメージでしたが店員はフランクで、水道水を「これはセーヌ川の水です。」と言って持ってきてくれました。午前中のためか店内に客はまばらでしたが、紳士がディナーの予約をしに訪れたりもしていて、シックな雰囲気。そして、窓ごしに眺める、雨の降るパリ。
 オニオングラタンスープは味が少し濃かったですが、美味しくてボリュームがあり、雨で冷えた身体を温めてくれました。

 12:00、雨がまばらになったところでコションを出て東へ。歩くこと10分、ポンピドゥーセンターへ到着。このあたりはマレ地区と呼ばれています。

オブジェポンピドゥーセンター
↑【左】街角の芸術。  【右】ポンピドゥーセンター内部。↑

ポンピドゥーセンター外観
↑2000年に改装オープンした、ポンピドゥーセンター。

「ポンピドゥーセンターは、レンツォ・ピアノが設計した芸術文化施設。レンツォ・ピアノって憶えてる?」
「うん♪ ピアノは、ジェノヴァ出身の建築家。あのきれいなジェノヴァの港の再開発も、ピアノが請け負ったんだよね。なつかしいなぁ、ジェノヴァ。」

市庁舎
↑ロワール地方の古城に劣らない麗美さを持つ、パリ市庁舎。

 ポンピドゥーセンターから南へ徒歩10分。ノートルダム橋を渡ると、セーヌ川の中洲、シテ島に到着しました。
 ここには、言わずと知れたノートルダム大聖堂があります。そして、大聖堂前の広場には、ここがパリのゼロ地点であることを示すポイントがありました。パリから○kmと言ったら、それはこの地点からの距離を示しているのです。つまり、ここは日本の日本橋にあたる場所。2人がたどり着いた当初は 誰もここに注目していませんでしたが、■■と●●が写真を撮ってもらった直後から他の観光客もこの地点に気付き、写真を撮ろうとにぎわってきました。

ノートルダム大聖堂
↑短い夏の終わりを告げる紅葉と、シテ島のノートルダム大聖堂。

ゼロ地点ノートルダム大聖堂
↑【左】パリの中心であるゼロ地点。  【右】ノートルダム大聖堂の入口。↑

 ■■も●●も、以前にノートルダム大聖堂の前までは来たことがあるものの、閉館していたため、中に入ったことはありませんでした。この日は幸い開いていたので、さっそく中へ。


↑【左】大聖堂の中は、ちょっとした異空間。  【右】夢にまで見たバラ窓。↑

「このバラ窓が、見たかったんだ~!」
「街の中心につくられた大聖堂。丘のてっぺんにつくられたマルセイユの大聖堂とは正反対の立地だね。」

 観光客でいっぱいですが、独特の神聖な空気で充ちた大聖堂。そしてその外には、秋の訪れを告げる紅葉が。


↑【左】ノートルダム橋から見たコンシェルジュリー。  【右】メトロの入口。↑

 メトロ4号線で、シテ駅からバルベス・ロシュシュアール駅まで北上し、そこからモンマルトルの丘を目指しました。

パリの公衆トイレ
↑【左】メトロでモンマルトルの丘へ向かいました。  【右】無料の公衆トイレ。↑

 サクレ・クール寺院のふもと。アメリの撮影でも使われた坂道と芝生が広がる場所で観光客を待っていたのは、ミサンガを持った謎の黒人集団。なんだかやばそうな雰囲気だな~と思い、■■が小走りで避けようとすると、黒人の1人は奇怪な横走りで先回りして進路をふさぎ、目を見開いて右人差し指を突き指し「エクスキューズ・ミー!」と叫んできました。
 ぎょっとする■■に対して、以外に落ち着いていた●●。

「からかっているだけよ♪ 逃げるから追いかけてくるのよ(^o^)」
「そうは言っても怖いよ、やっぱり。こう見えても、アメリのように繊細なこころを持っているんだよ♪」
「そうね。■■が貴重品持ってくれているんだものね♪」
「おかげで、どきどきしたまま丘を登ることになりそうだよ(>_<)。」

サクレ・クール聖堂
↑モンマルトルの丘にある、ビサンチン様式のサクレ・クール聖堂。


↑【左】謎のミサンガ軍団。  【右】丘の中腹に達したころ、強さを増した雨。↑

 あいにくの雨がまた降りはじめ、丘の上から見えた景色は、しっとりしたねずみ色。急な雨のため、モンマルトルの似顔絵描きたちは、かざっていた絵を慌てて取り込んでいました。

雨の都・パリ
↑14:37。ねずみ色のパリ。


↑【左】。  【右】雨が降ってきたので、画家たちは店じまい。↑


↑【左】ピカソが住んでいたアパート、洗濯船。青の時代はここでの出来事。

 肌寒さを感じながら坂を下り、洗濯船(ピカソが住んでいたアパートの別称)を見たあと、ムーラン・ルージュへ。ユアン・マクレガーの『Your Song』を結婚式で使った■■と●●にとっては、看過できないスポットです。

ムーラン・ルージュムーランルージュ内部
↑【左】あこがれの風車小屋、ムーラン・ルージュ。  【右】フレンチカンカンのポスター。↑

 ■■は昔、好きな映画を聞かれて『(ディカプリオの)ロミオとジュリエット』と答えると、たいていいぶかしい顔をされました。それが、2001年にバズ・ラーマンの新作映画『ムーラン・ルージュ!』が封切られると、改めて『ロミオとジュリエット』も評価されるようになりました。そういう意味でも、この風車小屋には強い思い入れがあったのです。
「家に帰ったら、『ムーラン・ルージュ』のDVDを見よっと♪」

 ムーラン・ルージュの近くのモノプリでワインなどを買って外に出ると、18:00。雨はあがり、青空がみえてきました。

「このぶんなら、今日行けそうだね。あの場所に♪」
「うん。トレヴィの泉からスタートした私たちの旅のゴールは、あそこしかないものね♪」

パリのビール
↑【左】晴天 and メトロ。  【右】ビールと厚切りハムのキッシュ。↑

 メトロでいったんホテルに戻りました。東駅周辺にはおしゃれなレストランは見当たらず、質素な料理が出てきそうなBARやブラッスリーばかりだったので、ホテルの数軒隣の肉屋で厚切りハムのキッシュ(2人分5.08ユーロ、約762円)を購入して、部屋で食べました。

 食後に2人で相談し、明日はゴッホ終焉の地、オーヴェル・シュル・オワーズという町に日帰りで行くことに決めました。21:30、■■は東駅の26番ホーム前の切符販売ボックス、パリ←→オーヴェル・シュル・オワーズ往復の時刻表をプリントアウトしてもらいました。

パリ東駅
↑【左】パリ東駅。  【右】26番ホーム前の切符売り場で、明日の時刻表をゲット。↑

 いつもならこのあとはお風呂に入って寝るところですが、今日はまだラストにイベントが。
 22:00、ホテルを出発。メトロの4番線から1番線に乗り継ぎ、シャルル・ド・ゴール・エトワール駅へ。この駅の地上に出ると、ありました。ライトアップされた凱旋門(Arc de Triomphe)が。

メトロ1号線凱旋門
↑【左】メトロ到着までの残り時間が表示されていました。  【右】22:36。凱旋門。↑

 凱旋門から東へのびるシャンゼリゼ大通りは、クリスマス時期とは違ってライトアップはなされていませんでした。
 そこで、凱旋門のあるシャルル・ド・ゴール広場から南方向へ伸びているイエナ大通りを進み、エッフェル塔へ向かうことに。やはり、パリに来たら訪れないわけにはいきません。

シャンゼリゼ大通りシャイヨー宮
↑【左】22:41。シャンゼリゼ大通り。  【右】シャイヨー宮。↑

 凱旋門から歩くこと15分。エッフェル塔のそばまでたどり着きました。早足でイエナ橋まで来たところで、ちょうど23:00になり、2万個の光のランプがスパークを始めました。

エッフェル塔エッフェル塔
↑23:00。ライトアップされたエッフェル塔が、更なる光の衣をまといました。↑

「聞こえた?」
「うん、聞こえたよ!この旅のフィナーレを告げる、きらびやかな光のファンファーレが!」
トレヴィの泉から、エッフェル塔まで。陸路(と海路)で達成したお祝いね♪」

 セーヌ川を挟んでエッフェル塔に対面。
 ハイタッチのあとは、がっちりと握手。

 モンゴル800の小さな恋のうたがBGMとして流れてきそうな、きらびやかにして爽やかな2人のゴールでした。■■と●●の旅行はまだ2日続きますが、いつもこころにヨーロッパ史上最大の挑戦は、いろいろ予想外のこともあったものの、大禍なく無事成功したのです。


↑ローマを出発して4週間。この旅行のゴールに無事到達できました。↑

 23:50、シェンド・マルス・トゥール・エッフェル駅からRERのC線に乗車。サン・ミッシェル・ノートルダム駅まで行ったあとはB線に乗り換えてシャトレ・レ・アール駅まで戻り、レ・アール駅から東駅までメトロの4号線に乗って、ホテルに戻りました。

 0:15、ホテルに到着。フロントではワインオープナーを貸してくれなかったので、ワインボトルを持って隣のカラオケバーに借りに行くと、店主がコルクを抜いてくれました。場末の酒場に人情あり。


↑【左】下から見上げたエッフェル塔。  【右】帰りのRER。↑

補足:ユーレイルパスでのパリRER乗車について

 地球の歩き方(P69)には、『RER(高速郊外鉄道)の経営主体はSNCFとRATPの2つに分かれている。A線はRATPとSNCF。CDE線は全線SNCF。B線は北駅を境に南がRATP、北がSNCFとなっている。SNCFの区間は当然ユーレイルパスが有効。ユーレイルパスを自動改札機に通すことはできないので、乗車駅の窓口でパスを提示し、通行券をもらうこと。』と書かれていました。
 なので、パスを提示して通行券をもらおうとしましたが、RER北駅の窓口では「ユーレイルパスはパリでは使えないよ!」と言われるのみ。
 RERシャルル・ド・ゴール・エトワール駅の窓口で聞いたら、はじめは他の窓口と同じように「パリでは使えないよ。」と言われたのに、問い詰めたら「ユーレイルパスで乗れるRERは、A線のナンテール・プレフェクチュール駅より西。B線の北駅より北。そして、C線とD線だよ。」と答え、紙にも書いてくれました。
 しかし、エッフェル塔近くのRERシャン・ド・マルス・トゥール・エッフェル駅から、RERのC線に乗ろうとしたところ、駅員は「切符を買え!」の一点張り。窓口によって言うことがマチマチで、その対応の冷たさは、パリの秋風以上!

「パリの人々に優しさを求めるのは、どこかの国のマスコミに良識を求めるようなものだね。」
「ま、この旅行自体が『足るを知る』旅だったような気もするし、無いものねだりは やめておきましょう。」

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コメント (2)

こんにちは、chikocrapeです。

ノートルダム大聖堂前のゼロ地点、何処かにあるはず・・・と探し回っていたのですが、こんなちっこい地面の模様だったんですね。もっとちゃんとしたシンボルでも立っているのかな、と思っていたので。確かに私が行った時には誰一人気付いていませんでした。

モンマルトルはホテルから徒歩圏内だったので、朝食後すぐに赴き、たっぷり2時間かけて早朝の散歩を楽しみました。ミサンガの押し売り軍団はWikipediaに載っているほどの有名人ですが、9時頃にはまだ徘徊していませんでしたね。サクレ・クールやテルトル広場の辺りは騒がしいですが、ちょっと外れれば閑静な住宅街が広がっていて、パリにいる喜びを噛みしめながらの散歩はとても気持ち良かったです。

パリは今年春の旅行が初訪問だったのですが、世間の評判とは裏腹に親切な人が多いという印象でした。なるべくフランス語で話し掛けるようにしていたのが効を奏したのでしょうか。華やかで明るい雰囲気にすっかり魅せられてしまいました。次のヨーロッパ旅行の目的地がどこであれ、また寄っていくことになりそうです。

chikocrapeさん、コメントありがとうございます。
パリほど街歩きが楽しい都市は、ほかに無いかもしれないですね。
パリを好きになる人は、大人な人が多いと聞きます。

Wikipediaでサクレ・クールを調べました!ミサンガ軍団がそんなに有名だったとは!
私たちは、お金を持っているように見られなかったためか、幸いしつこく付きまとわれませんでしたが、他のサイトも検索してみたところ、勝手にミサンガを巻きつけられ、シャレにならない金額を払った人もいるようですね~。

それでは、chikocrapeさんのブログで春のヨーロッパ旅行編が始まるのを、心待ちにしています。chikocrapeさんの、パリやレーゲンスブルクなどのどのような場所を訪れたのか、旅行記を読むのが今から楽しみです!

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